交通事故をした時には身体に痛みがなかったため、警察への処理は物損事故として届け出たものの、数日経過してから首や腰などに痛みが出てくるケースは、珍しくありません。
こうなった場合は、一度は警察へ物損事故として届け出をしていても、きちんと手続きを行えば人身事故への切り替え・変更が可能です。
この記事では、物損事故と人身事故の違い、物損事故から人身事故に切り替え方、人身事故に切り替えてもらえなかった場合、について解説していきます。
物損事故と人身事故の違い
人身事故とは、死傷者が存在する事故のことで、被害者が怪我をしたり、死亡したり、障害が発生した場合の事故のことをいいます。
物損事故とは、事故によって生じた被害が自動車や物品の破損にとどまる事故のことをいいます。
この2つを届け出てからの違いは、人身事故だと警察の捜査が入りますが、物損事故だと警察の捜査が入りません。捜査が入らないという事は、実況見分調書が作成されないので、もしも裁判になった時に、証拠がなく、被害者側が不利になってしまいます。
人身事故では慰謝料を請求する事ができますが、物損事故だと特別な理由がない限り、慰謝料を請求する事ができません。
ですから、少しでも怪我をした場合は人身事故で届け出るべきですし、後から痛みが出てきた場合は、速やかに人身事故に切り替える必要があります。
物損事故から人身事故への切り替え方
交通事故が発生したとき、人身事故なのに物損事故として届け出てしまう方は多い為、事故発生後、1週間〜10日以内でしたら、警察でも人身事故への切り替え申請を認めています。
物損事故から人身事故に切り替えるには、まず病院で診断書をもらわなくてはいけません。
また、被害者の車両本体を、手続の際に持っていく必要がありますので、修理中や走行不能な場合は、車のナンバーがわかる写真を持っていきます。その他、手続に必要なものは、車検証・運転免許証・印鑑等があります。
診断書等の必要な物が揃ったら、事故を管轄している警察に予約して、切り替えの申請書と共に診断書を提出しに行きます。
物損事故から人身事故に切り替えたら、被害者と加害者立会のもとに実況見分が行われます。
人身事故に切り替えてもらえなかった場合
警察で人身事故への切り替えを認めてもらえなかった場合は、保険会社に連絡し、民事上の手続でのみ人身事故扱いにしてもらうという方法がとれます。
民事処分は人身事故として責任を負ってもらうことができますので、物損事故のまま、人の身体や生命に関わる損害に対しても賠償金の請求を行うことができるようになります。
まとめ
交通事故に遭ったときは、現場でけがをしている可能性があるなら必ず人身事故として届け出ましょう。
また、人身事故になると運転免許の点数が加算されて免許停止や取消や刑事罰を与えられてしまうのを避けるために、加害者側から物損事故にして欲しい、と頼まれる事がありますが、応じないようにしましょう。
交通事故に遭って、人身事故か物損事故か悩んだ時、または人身事故への切り替えなどが不安な場合は、弁護士に相談することをお勧めします。